The Monster of Nix アーティストのRosto A.D.氏にとって、自らのビジョンを展開するには、フレキシブルなCGツールが数多く必要です。そんな同氏のお気に入りがCinema 4Dです。
クリエイターのRosto A.D.氏によると、『The Monster of Nix』は、誰も姿を見たことのない怪物に脅かされているNix村を舞台としたおとぎ話です。これは、同氏の空想とWebプロジェクト『Mind my Gap』から生まれたものです。現に、『Mind my Gap』のキャラクターの多くが、脇役ながら登場します。
Nix村は、得体の知れない物や生き物で満ちた大きな森の中にあります。また、この村にも、風変わりで不気味な生き物が住んでいます。恐ろしい怪物によってNix村が破壊された後、主人公である若者Willyは、その怪物を探し求めるため、孤独ながらも楽しい冒険に出発します。この作品は、素晴らしいサウンドトラックと見た目の豪華さによって大成功を収めているミュージカルです。
そもそもRosto A.D.氏はアーティストです。それは、同氏の手による生き物を見れば明らかです。物の見せ方についてビジョンを持ち、妥協することなくそれを実現します。その動機について、あるインタビューで同氏はこう話していました。「たいていの映画制作者は、どこかの段階で、アニメーション、実写、ストップモーションなどのうちどの技術を用いるかを決めます。でも技術は、あれかこれかではなく、必要ならあれもこれもという考え方でよいと私は思いました。 」
Rosto氏の映画には、CGIは言うに及ばず、『マペット・ショー』(原題:The Muppet Show)に見られるような人形劇、実写、ミニチュアなど、さまざまな技術が用いられています。これらの要素は同氏にとって、目的とする効果を実現するための手段なのです。これと同様に、上記プロジェクトのチームや、その過程における裏話もさまざまでした。たとえば、そのヒントは、『Mind the Gap』に出てくる森の妖精について詳しく知りたがっていた、Rosto氏の息子から得たのです。それからRosto氏は数年をかけて、ストーリーを考え出し、プロジェクトの資金調達に奔走しました。約4年後、実際の制作が始まった矢先には、新たな大問題が待っていました。制作チームのメンバーは、複数の国に散らばっていたのです。しかしRosto氏は、プロジェクト作成時のような辣腕ぶりで、制作上の難局をいくつも切り抜け、何とか成就に至りました。その過程では、さまざまなアーティストから提供されるさまざまなファイルを社内で処理する必要がありましたが、このときにCinema 4Dを用いたのです。
キャラクターは、CGIで作成されたものもあれば、Cinema 4Dで部分的にアニメートされたものもあります。Willy役の俳優は、重さ数kgの頭のコスチュームを被らねばなりませんでした。このコスチューム上に、Cinema 4Dでアニメートされた顔を投影するためでした。恐ろしいツバメのVirgilなど他のキャラクターは、すべてCinema 4Dで作成されました。
Rosto氏は、Tom WaitsやTerry Gilliamなどの有名人を、この作品における最高の目玉として起用することができました。彼らは、声優としてこのプロジェクトに熱心に携わったのです。Tom Waitsは、Virgil役として確かな声優ぶりを発揮し、ストーリーとその魅力に特別な味を添えました。
この映画は、一見すると風変わりで奇妙ですが、職人技と円熟した制作ぶりが素晴らしいです。ここ数年間で最も奇妙なミュージカルの1つとはいえ、見応えがあるのは確かです。これは、CGIによる印象的な効果によるところが大きいです。唯一惜しむらくは、この作品は今後もフェスティバルでしか上映されないだろうということです。しかし、その予告編を見れば、もっと見たくなり、次にどこで上映されるかきっと知りたくなるでしょう。
『The Monster of Nix』のWebサイト:
www.monsterofnix.com
ティーザー1:
www.youtube.com/watch?v=u8CRud5D2EE&feature=relmfu
ティーザー2:
www.youtube.com/watch?v=FDCO3__ayh4&feature=relmfu
『Mind my Gap』のWebサイト:
www.rostoad.com