Red Bull Stratosのメイキング image

Red Bull Stratosのメイキング AixSponzaがCinema 4Dを使って壮大なRed Bullのジャンプに先立って息を飲むようなシミュレーションを作成!

ドイツのミュンヘンに拠点を置く映画制作会社Peter Clausen Filmとの協力は、2008年にディレクターのPeter ClausenがシンガポールのF1レース場をクライアントのRed BullのためにフルCGでビジュアライズするというアイディアを持ちかけてきたことが始まりでした。私たちが作った真新しいサーキットの映像は、観客やクライアントの受けが非常に良く、その後の数年間もRed Bullのための映像を制作しました。とくにXFighters モトクロスの映像やRed Bull Air Raceの映像などです。その結果、Red Bull がStratos Project を事前にCGでビジュアライズするというアイディアをPeter Clausenに持ちかけた時に、彼は再び私たちにその映像の実現を依頼してきたのです。当時の難題は、このプロジェクトがRed Bullでまだ開発初期にあったことでした。そのため、最初のブリーフィングのときには、まだ詳細の多くが決まっていませんでした。それでも私たちは、与えられた情報のみを使うことが求められました。そのことから、映像制作の作業を始める前に正確な情報を得るために、Peter Clausen Film および Red Bullと非常に緊密に協力することになりました。制作途中でも、多くのディテールが頻繁に変更されました。

当社は、Peter Clausenの指示に従って、Felix Baumgartnerの撮影以外の制作作業全体を行いました。私たちは、映像の最終的なイメージを決めるレイアウト段階から始めました。それから、カプセル、バルーンおよび宇宙服に身を包んだFelix Baumgartnerの3Dモデルを制作しました。宇宙空間から見た地球のマット・ペインティングと3Dモデルも作りました。アニマティックス段階で、すべてのカメラワークを行いました。最終的には、音速の壁を超えるFelixを表現するためにパーティクル・エフェクトを作成し、すべてのCGショットのコンポジットを行い、本物のFelixが登場するすべてのショットで実写フィルムの統合とコンポジッティングを行いました。

硬表面の小道具とバルーンのモデリングには、MAXONのCINEMA 4Dを使用しました。Felixの宇宙服のスカルプティングとFelixの頭部のスタンドイン・モデルには、Pixologic ZBrushを使いました。 カメラおよびキャラクター・アニメーションもCINEMA 4Dを使って作りました。レンダリングには、LaubLab / ChaosGroupのVRay4C4Dを使いました。マット・ペインティングとコンポジッティングは、Adobe Creative Suiteのツール、つまりPhotoshopとAfter Effectsを使って行いました。VFX にはCINEMA 4DのThinking Particles機能を使いました。

ZBrush、CINEMA 4D、VRay はいずれも今回の制作で大きな役割を果たしました。ZBrush は入手可能な最も信頼できるスカルプティング・ソリューションであることがわかりました。インタラクティブで作業する楽しみも残しつつ、大量のポリゴン・カウントを扱える性能のおかげで、Felixの宇宙服に膨大な量のディテールを盛り込むことができました。下にあるファブリックの構造まで、ZBrushでHD geometryを使ったリアル・スカルプティングとして作ったのです。CINEMA 4Dは、制作中の多くの面でその自由度の高さと使いやすさを発揮しました。とくに、このソフトウェアの最近のバージョンで使用できるようになった強力なキャラクター・アニメーション・ツールは、メイン・キャラクターのリギングとアニメーティング、とくにFelixの宇宙服に付けられたあらゆる複雑なベルトやワイヤでは非常に役に立ちました。XPressoによる環境は、リギングだけでなくアニメーティングやストリームライニングのワークフローでも頻繁に使用されました。これはタイトな締め切りに間に合わせるには、不可欠でした。最後になりましたが、VRayはアニメーション化されたキャラクターの上に大量のディスプレイスメント・マップをすべてフリッカリングなしに妥当な時間内にレンダリングするという大きな仕事をしてくれました。その素晴らしい品質とエンジンのスピードのおかげで、すべてのショットでフル・グローバル・イルミネーションを使用することで、作業をライティング・アーティストからレンダリング・マシンにシフトすることができました。

このプロジェクトでは、Felixという登場人物が圧倒的に一番複雑な部分でした。宇宙服を作るのが、とくに難題でした。できるだけ実物に近いものにしなければなりませんし、実際の宇宙服はさまざまな織物の層でできており、ベルト、ストラップ、ケーブル、バッグ、バルブ等々が連結していますから。さらに、Red Bullは各種テストから得られた結果にデザインを適合させなければならなかったので、実物の宇宙服のデザインが、制作途中に何度も変わったのです。最初に、CINEMA 4Dできれいな四角形のトポロジーを使って、低ポリゴンの宇宙服モデルとそれに付属するすべての小道具について、個別の低ポリゴン・モデルを作成しました。それから、参考写真に従ってZBrush内ですべてのディテールをスカルプティングしました。ZBrushモデルは、多くのサブ・ツールで構成されていました。私たちはHD geometry 機能を使って、織物の構造のような、ごくごく細かいディテールまでキャプチャーしました。それから、CINEMA 4DのVRayで使用するためにディスプレイスメント・マップをエクスポートしました。 モデルに頻繁に変更を加えられるようにするために、CINEMA 4Dに特別なリグを作りました。このことによって、コントローラーとそのアニメーションが、XPressoを使用することによって生ずる実際のジオメトリから分離されました。最新バージョンのCINEMA 4Dにある外部参照機能とは異なり、当時の外部参照はそれほど精巧ではありませんでした。私たちがXPressoという手段をとったのは、そのためです。そうすることによって、さまざまなアーティストが、キャラクターのアニメーションと実際のモデルに対して同時に作業を行うことができました。それによって、プロジェクトのどの段階でも、最新のアニメーションに新しいgeometry vernonを加えることが簡単にできました。宇宙服でもう一つ難しかったのは、基本サーフェスに続く、ストラップやベルトのさまざまなレイヤーでした。私たちは、これらをCINEMA 4Dのサーフェイスデフォーマとメッシュデフォーマでリグを作り、下にある宇宙服の動きに合わせました。それから、ベーシック・リグのジョイント・アングルで作動する矯正用のモーフを作成し、めり込みなどの形状の問題を調整しました。最後のリグはとくに複雑でしたが、CINEMA 4Dでうまくいきました。しかし、リアルタイム・フィードバックのために一部の不要なパーツを無効にする必要がありました。このことは、モーション作成時に必要でした。たとえば、ベルトとストラップ、そしてディスプレイスメントは、モーション作成段階ではオフにしました。 最終的なキャラクターには大量のディテールがあり、多くのディスプレイスメント・マップが適用されていましたが、それをVRay のフルGIでレンダリングすることには、何の問題もありませんでした。それはかなり迅速に高い信頼性で実行してくれました。それでも、最終的な画像のさまざまなコンポーネントをすべて、さまざまなレンダー・パスに分けることにより、コンポジッティングでさらなる調整が簡単にできるようにしました。全体として、このプロジェクトは、とても楽しいものでした。3Dアーティストは皆、そのキャリアの中で一度は宇宙プロジェクトに携わるべきですね。

第1段階の作業は2010年1月に、第2段階の作業 (ステレオ3D) は 2012年8月に完了しました。

第1段階は2009年9月から2010年1月まで、第2段階は2012年7月から2012年8月まででした。


リンク:
Aix Sponza: www.aixsponza.com
Video clip: www.vimeo.com/48082757
Red Bull: www.redbullstratos.com
Peter Clausen Film: www.peterclausen.de


クレジット:
ディレクター & プロデューサー: Peter Clausen
ライン・プロデューサー: Cecilia Trück
VFX ディレクター / 編集: Christian Tyroller
VFX スーパーバイザー / CD / TD: Manuel Casasola Merkle
リード 3D アーティスト: Matthias Zabiegly
3D アーティスト: Leonhard Akinbiyi、Magid Hoff、Sven Mai、Philipp Strasser、Vladan Subotic、Fuat Yüksel
ジュニア 3D アーティスト: Sebastian Baumann、Jörg Vogel
アニメーター: Douglas Bello、Thomas Grummt
キャラクター・モデリング / スカルプティング: Ulf Gieseler
テクニカル・モデリング: Jan Haluszka
ビジュアル・エフェクト: AixSponza、Pixellusion
リギング: Fabian Rosenkranz
コンポジッティング: Andreas Gebauer、Tobias Müller、Christian Stanzel、Matthias Zabiegly
音楽 & サウンド・デザイン: Walter Werzowa、Musikvergnuegen Inc., Los Angeles